コロナ禍の中、様々なことが制限されていますが、本校の2019年度の卒業式もその一つでした。2019年度中学部の卒業生は、幼稚部年少から中学3年生まで、12年間通い続け卒業式を迎えた一期生です。子供にとって12年間という年月は、とても長く貴重な時間です。補習校と共に成長していった記念すべき一期生の皆さんが、オンライン卒業式でどんな言葉を残していったのか、ここでほんの一部を紹介したいと思います。

「ふと考えてみると、補習校で日本語を継続的に学習して、日本語で意思疎通できる楽しさを知ったからこそ、他の言葉でも同じような喜びを味わいたいと思うようになれたのだと思います。つまり、日本語の学習をきっかけに、私の世界観が広がったのです。」

「私の中の日本への扉を開けて、日本人としての私の成長に付きそってくださった先生、一緒に学び合った友達、両親、補習校の全ての人たちに感謝します。これからは、自分自身で日本への扉を開けていきたいです。」

 本校では、より広い視野と柔軟な対応力を持った児童・生徒の育成を目標に掲げてきました。この卒業生の言葉からまさに、広い世界観を持ち、自立して柔軟に対応していこうとする姿が見られ、大変嬉しく、そして誇らしく思いました。

 本校には、様々なバックグラウンドを持つ児童・生徒が在校していますが、全員に共通することがあります。それは日本語を学ぶことを通して、全員がつながっているという事です。ハイデルベルク日本語補習授業校が、在校生、卒業生、ご家族に留まらず、日本語に通じる全ての方々の、心の拠り所であり続けてほしいと心から願います。その持続のために、講師および執行部一同は、日々全力で取り組んでいます。

2021年4月 校長 ディートリッヒ 菜穂